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2006年10月15日 (日)

日本の医療

在宅医療を行っていた91歳の方の家族から夜電話があり、夜間緊急に往診に行く。

僕が駆けつけたときはまだ自発呼吸もあり、心臓も動いていたが、脈を取っているうちに、呼吸が止まり、そのうち心音も止まった。病院で看取るのとは違い、心電図モニターもなく、看護師もいない状況で死の瞬間に居合わせることは困難だ。今回は、まさに僕が来るのを待っててくれたような安らかな死だった。

小学生のひ孫が”僕最近おばあちゃんのところにあまり遊びに来ないで御免なさい”と泣きじゃくる中、彼の親が”おばあちゃんはやっと楽になれたのだから、大丈夫だよ”と励ましている姿に、僕も悲しくなってしまった。

医療は患者さんとの信頼関係の上に初めて成り立つもので、医師には、現場での崇高な精神が必要とされる。多くの医療従事者は、どんな性格の人間であれ、そういう資質を持っていると思う。だからきつい仕事でもやっていける。

最近、医療事故が刑事事件になったり、他のサービス業と同一レベルで質が語られることが寂しく感じる。

天才外科医が華々しくTVで報じられる一方、本当に努力して優秀な医師はその他の凡庸な医師として一くくりにされることに違和感を感じる。(結構僕の医知り合いが多いのだけど、、。)

医師と患者の関係だけでなく、社会全体がワガママな個人主義におかされていると感じる。

亡くなったお婆さんは若いときからマッサージ師をしていて診察に来るたびに、僕の上腕や肩を冗談半分でもんでくれた。か細い腕からは想像できない力で僕が痛がるのを笑いながらみて僕をからかっていた。どんな患者さんでも”ありがとうございます”と言われると、うれしいし、苦労が報われる。

最近NHKで日本の医療についての特集番組があった。僕が勤めていた栗橋済生会病院がでていたので、なつかしくて、本田先生の熱い熱弁を聞いて面白かったけれど、まず医療費ありきの討論に空虚感を感じてしまうのは何故だろう。

めまぐるしく価値観が変化する社会だけれど、とにかく、家族愛をモットーに自分の信じた医療にベストを尽くそうと改めて思った。

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3周年、おめでとうございます!

投稿: shima@湯島 | 2006年10月20日 (金) 17時30分

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