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2006年3月16日 (木)

I'm cancer

大学勤務の日。大学でエレベーターに乗っていたら、複数の外人の患者さんと一緒になった。女子医大の脳外科は日本全国から患者さんが来るが、国外からも多くの患者さんが来ている。

一人は頭を丸坊主にした明らかな開頭手術後の男の患者さん(最近は丸坊主にしなくても手術できるが、患者さんの希望による)。もう一人は母親でベビーカーにやはり丸坊主の開頭手術後の赤ちゃんを乗せた母親。

何気なくエレベーターに乗っていたら2人の外国人同士が英語で話し始めた。

母親の女性が突然もう一人の男性患者に声をかけた。"my baby has a brain cancer...."もう一人の男性  ”Me too......"

初対面で何なんだ!!この会話は!脳外科医としては二人の患者さんの様子から何気なく状況はつかめるものの、会話から初対面同士の会話としてはこの直接的表現は何なんだ!!と思ってしまった。

文化は違うかもしれないが、人間の感情はそんなに違わないはず。それなのにこの直接的表現は日本人の僕らには理解できないくらいダイレクトでポジティブで、、。

その後は ”日本ではcancerを癌って呼ぶんだって、でも私の国ではganは、、、、って意味なのでおかしいわ” なんって雑談をしていた。

もし自分が癌だったら、もしくは自分の子供が小児癌だったら、初めてあった人にこういう風に話かけれるだろうか?

感情は動かしがたい事実。世界どこにいても変わらないはず。脳腫瘍という事実は誰でも絶望的な気持ちにさせるインパクトがあるはず。

言葉は表現によって相手に伝わるインパクトが違う。日本語自体が元来ポジティブな表現を避ける傾向にあるかもしれない。英語で話すとどうしてもダイレクトな表現になるのかもしれないけれど、この会話を聞いて、なんてポジティブな母親なんだろうと思ってしまったし、医者でありいろんな経験を積んだ自分でも、この会話に弱気になった自分がいて、なんとなく勇気が湧くような経験だった。

僕も誰かを勇気づけたいし、ポジティブにさせてあげたい。言葉が発する力は表現によって変わる事を思い知らせれた出来事だった。

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